衰退国家 日本国で着実に成長しているものとは?

From:葉山拓哉

残念ながら我らが母国は非常に緩慢ではありますが、相対的な国際的地位が低下する衰退期に入っています。構造的な問題が多く、明治時代、大戦直後のような大改革を断行しないとなかなか上昇軌道には戻れないでしょう。

そんな厳しい日本でも着実に伸びているものがあります。その背景となる統計を今日はご紹介します。

まず、面倒かもしれませんが、社会経済情勢を理解しておくことは極めて重要です。なぜなら、情勢を理解せずに生きていくことはルールを知らずにゲームを進めていることと同義だからです。それでは、効率の良い進め方はできず、回り道になってしまいます。

さて、以下はりそな銀行が2016年3月に発表したレポートからの引用で、政府発表の法人企業統計から企業の創出した付加価値をまとめたものです。

過去15年間で伸びている項目が一目でわかります。営業利益は2.6倍と利益は順調に伸びています。では、その利益は何に分配されたのでしょうか。増加のほとんどは配当に回っており、人件費(賃金)の伸びはわずかにとどまっています。

出所:りそな銀行

この衝撃的な事実をご存知でしたでしょうか?

賃金は一定ですが株主の配当は大いに潤っているのです。そして、この傾向は今後数年間以上は続くことが予想されます。

日本企業の現在の配当性向(配当性向とは、純利益(税引後利益)から、配当金をどのくらい支払っているかを%で表したものです。つまり、企業が1年間で獲得した利益からどれだけ配当金として株主に還元しているかの割合です。)は、約30%程度ですが、米国ではおよそ40%、欧州では50%程度となっています。

そのため、特に国内外の株主からさらなる配当向上の圧力がかかっており、今後も増えていく見込みです。

翻って、賃金が伸びる見込みはあまりありません。

経済のグローバル化で低賃金の国に雇用が回ることで人件費は抑えられ続けています。これは世界的な傾向です。米国の実質(インフレ調整後)平均家計所得を見ますと、所得分布が上位20 %以外の家計(下80%の家計)では過去50年間ほとんど所得は向上していません。

us real household income等のキーワードで検索するとこの事実を示すデータが数多く出てきます。他の先進国でも同様の結果が出てきます。他国はインフレがあるので、見た目上賃金が伸びているように見えるだけで、実質的な賃金上昇は起きていません。

この社会経済情勢の中で個人の総合的な所得を増やす合理的な選択は何でしょうか?

給与を伸ばすより、配当をより多くもらう方が簡単そうではないでしょうか。

資本主義社会で生存せざるを得ない我々は、こういったゲームのルールを知らずして、効果的に豊かになるのは難しいでしょう。まして、衰退国家で右肩上がりを期待するのは無理があります。

私自身、自分の所得を最大化するために、複数の収入源の中で一番有利なものがどれかという発想を常に持ちながら、時間配分の最適化を考えています。

ゲーム全体のルールが分かっていれば、一番有利な場所でゲームをプレイすることができるのです。複数のゲームを組めるポートフォリオの構築は必須です。

我国が東洋の奇跡と言われるほどに成長していた時は、活気もそして、全体が潤う余裕がありました。もはや、潤う人しか潤わない厳しい状況になっています。皆さんもルールを理解し、成長が見込め、有利な条件で進められそうなところに注力して下さい。

投稿者プロフィール

葉山 拓哉
葉山 拓哉国際金融コンサルタント、投資家
世界銀行グループ(ワシントンDC本部、新興国現地事務所)、投資銀行(ニューヨーク、ロンドン、東京)にて勤務。 世界各国で約50の投融資案件に携わり、新興国を含む世界の金融・経済情勢に精通。自己資産は世界中のあらゆる商品に投資。世界有数のビジネススクールを卒業し、世界銀行グループにおいても世界の一流の人材と親交を深める。一方で、冒険家・旅行家として世界140ヵ国へ歴訪。傍ら、アフリカ、欧州等の大陸最高峰への登頂を果たす。

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ABOUTこの記事をかいた人

世界銀行グループ(ワシントンDC本部、新興国現地事務所)、投資銀行(ニューヨーク、ロンドン、東京)にて勤務。 世界各国で約50の投融資案件に携わり、新興国を含む世界の金融・経済情勢に精通。自己資産は世界中のあらゆる商品に投資。世界有数のビジネススクールを卒業し、世界銀行グループにおいても世界の一流の人材と親交を深める。一方で、冒険家・旅行家として世界140ヵ国へ歴訪。傍ら、アフリカ、欧州等の大陸最高峰への登頂を果たす。