人生に彩を添える旅:アフリカの角編(ソマリランド、ジブチ、エチオピア)

From:葉山拓哉

皆さんはエチオピアの場所は大体ご存知だと思いますが、ジブチ、ソマリランドがどこにあるかわかりますか。

アフリカの角と呼ばれる地域で、世界地図を見れば、その戦略的な重要性が分かると思います。ジブチは隣に海賊国家のソマリアが位置することもあり、各国の海軍が大規模に駐屯しています。観光国とは全く呼べない国ですので、私以外の観光客らしき人に会うことはありませんでしたが、軍人には数多く会いました。

ジブチは極めて高温(夏は毎日のように40度を超えます)で住環境は過酷です。日中に5分も外にいると汗が噴き出して来て、まるでサウナの中にいるようです。観光資源もあまりありませんし、著名なものは屋外にあります。尋常ではない暑さで、普通の個人客は見に行きません。

私はジブチでソマリランドのビザを取得し、砂漠越えの陸路でソマリランドの首都ハルゲイサを訪れました。もともとは飛行機で行く予定だったのですが、旅客数が十分に集まらず、欠便となってしまったのです。よくあることのようです。空港でこの絶望的なフライトを一緒に待っていた乗客の一人がIGAD(Intergovernmental Authority on Developmentというアフリカの角、ナイル周辺の8か国からなる国際機関)のジブチ職員でした。彼はソマリアの出身であったため、ソマリア語が話せました。

公務の関係でどうしても翌日に現地入りする必要があることと、陸路でハルゲイサに幸運にもまだ行ったことがないとのことで、今回は陸路で行く覚悟を決めているとのことで仲間を募っていました。結局、他の乗客は2日後の次の便を待ち、彼と私だけが陸路の旅を選びました。

何年前の型か分からないオンボロのランドクルーザーで砂漠の中を8時間超に及び激走し、ソマリランドの首都ハルゲイサに着いたときは感動しました。砂埃で何から何まで砂だらけになっていました。砂漠の過酷なドライブで座っているだけで、背中とおしりはボロボロです。

砂漠越えの当日はラマダンで人々は日中に何も口にできないため、日暮れを待って砂漠の中の小さな集落でパスタを食べました。アルデンテという言葉が存在しないかのような麵でしたが、砂漠の地平線に沈む太陽を見ながらの食事は格別でした。東洋人など来るはずもないソマリアの砂漠の辺境の集落で、私の存在は珍しく多くの人が集まって来ました。

さて、そもそもソマリランドという国を聞いたことがない方がほとんどでしょう。一方、ソマリアは皆さんが聞いたことがある名前だと思います。現在、ソマリアは無政府状態のため、事実上3つの自治領に分かれています。北からソマリランド、プンタランド、ソマリアです。ソマリランドは1991年にソマリアの政府が崩壊してから独立を宣言し、20年以上平和を保っている“国家”です。国際社会に国家承認はされていないものの、隣国の大国エチオピアに連絡事務所もあり、政治的には安定しています。

隣のプンタランドはかの有名な海賊の根城ですし、ソマリアはアルシャバブの本拠地です。両地域とも治安は極めて悪く、訪れた外国人が往々にして殺害されています。アルシャバブは隣国のケニア沿岸にもしばしば遠征に出かけており、多くのケニア人が命を落としています。そのため、ケニアの湾岸を訪れる観光客は激減し、閑古鳥が鳴く状態です。

私の世界旅行記モルドヴァ編で、トランスドニエストルを紹介しましたが、こういった自称独立国が世界には複数あります。ソマリランドもその一つなのです。この混沌を極めるソマリランド内で20数年間独自の平和を維持しているのは偉業だと思います。

ソマリランドの首都ハルゲイサは平和とはいえ、インフラはありません。観光客も私のようなもの好きを除き皆無です。数日間の滞在で外国人観光客らしき人をとうとう一人も見ませんでした。

ソマリランドからエチオピアに行くと、世界最貧国のエチオピアも非常に発展した国に見えてしまいます。エチオピアはアフリカ最古の独立国ですし、独自のエチオピア正教の文化も興味深く、観光客も数多くいます。人類史上最古の化石遺骨、アウストラロピテクス(ルーシー)も非常に有名です。ラリベラの岩窟教会群は必見ですし、アクスムの考古遺跡群も大変興味深いです。エチオピアは観光資源に恵まれたアフリカの大国の一つです。しかし、ソマリランドのような謎の国への訪問も冒険心をくすぐるのです。

世界には多くの謎が犇めいています。そういった謎に触れる人生になるかならないかは皆さんの知的好奇心が決めるのです。

投稿者プロフィール

葉山 拓哉
葉山 拓哉国際金融コンサルタント、投資家
世界銀行グループ(ワシントンDC本部、新興国現地事務所)、投資銀行(ニューヨーク、ロンドン、東京)にて勤務。 世界各国で約50の投融資案件に携わり、新興国を含む世界の金融・経済情勢に精通。自己資産は世界中のあらゆる商品に投資。世界有数のビジネススクールを卒業し、世界銀行グループにおいても世界の一流の人材と親交を深める。一方で、冒険家・旅行家として世界140ヵ国へ歴訪。傍ら、アフリカ、欧州等の大陸最高峰への登頂を果たす。

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ABOUTこの記事をかいた人

世界銀行グループ(ワシントンDC本部、新興国現地事務所)、投資銀行(ニューヨーク、ロンドン、東京)にて勤務。 世界各国で約50の投融資案件に携わり、新興国を含む世界の金融・経済情勢に精通。自己資産は世界中のあらゆる商品に投資。世界有数のビジネススクールを卒業し、世界銀行グループにおいても世界の一流の人材と親交を深める。一方で、冒険家・旅行家として世界140ヵ国へ歴訪。傍ら、アフリカ、欧州等の大陸最高峰への登頂を果たす。